やなぎょん 政治経済を勉強中!

最近は「政府の財源」について勉強しています.勉強不足・間違いがあるかもしれませんが,あくまで備忘録として公開していきます.経済のエキスパートの方からは,是非優しいアドバイスをお願いします.

7.MMTがあれば税金は要るの?要らないの?

これまでの記事を読んでいただけた方は「税金=財源」とする考え方が如何に不要なものか,大体理解していただけただろう.

 

では,夢の「無税社会」は実現できるのだろうか?私個人としては,「無理すればできるっちゃできるけど,税金には非常に便利な使い道があるよ」と言いたい.

 

中野剛志氏は著書「奇跡の経済教室」の中で「無税社会を作ってしまうと,インフレをコントロールできないので,課税もとても重要である」との旨を述べている.一般にインフレ率は供給=生産性と,需要=購買力=賃金のバランスで決まるが,特に「需要(個人の実収入)」の安定化には税金を敢えて取る事が便利であると主張している.

 

中野氏(大西つねき氏など,他の多くの論客も同様)は自動安定化装置(ビルトインスタビライザー)として所得税を上げている.彼らの主張によれば,景気が良くなれば賃金は上昇するものの,それによって所得税も増え,賃金から税金を引いた額(=収入)が頭打ちになり,市中のお金の量も頭打ちになるため需要も頭打ちになり,ビジネスチャンスもそこまで急激には増えないので金利や物価の急激な上昇も抑えられる[1].また,この効果は法人税にも認められるそうだ[2].これによりMMT批判者が述べるような「急激なインフレ」は自動で抑制できると考えられる[3].

[1] と私は解釈した

[2] おそらく,経営者が労働者に払う賃金の上昇を抑えられるためだろう

[3] そもそもこの段落の議論はMMTも従来型理論によるインフレターゲットでも共通である

 

若干脱線するが,中野氏らは,消費税は所得に依存せず,消費のみに依存する(逆進性がある)ため,安定化装置としては働かないと主張する.また,藤井聡氏の発表を参考にすれば,消費税を使えばインフレなんてイチコロで退治できるように思える[4].故に我々は,インフレの緊急回避装置として消費税を活用できると考えることができる.イメージ的にはインフレ炎上用の消化器みたいな道具であるが,逆を言えばデフレなのに消化器をずっと噴射し続けた現政権の政治責任は果てしなく重い.

[4] バブル崩壊は長期不況の本質ではなく,あくまで不況は消費税増税に起因する,と藤井聡氏は述べている(この動画の10分ごろから).

 

以上まとめると,「税金は『財源』としては使う必要は全く無い.但し,物価や金利に自動的な負のフィードバックをかける装置としては便利なので,廃止しない方が良い.税金を財源として使わないので[5],税収の『金額』を心配する必要はまったくない」という事である.あくまで財源は国債発行が軸になる.だから,仮に税金が多く稼げても,全く稼げなくても,それはどっちでも良いと言うことである.インフレ制御さえ完璧ならば,すべて良しである.

 

[5] 米山氏のような税金を財政赤字解消の財源とすることを前提としているMMT批判は的外れであるどころか,自らMMTの趣旨を全く分かっていないと言っているようなものである.

 

だが,ここまでお読みになった人は「破綻しないからと言って,財政赤字はずっと放置するのか?」という懸念を抱いたことだろう.先述の通り,デフォルト自体は「しない」.しかし,それでも赤字が増える事自体が心配でしょうがないという機運が国内にもし高まった場合は,続くページに大西つねき氏(れいわ新選組)の対策案を書いたので,見ていただきたい.