やなぎょん 政治経済を勉強中!

最近は「政府の財源」について勉強しています.勉強不足・間違いがあるかもしれませんが,あくまで備忘録として公開していきます.経済のエキスパートの方からは,是非優しいアドバイスをお願いします.

11.無駄な公共事業とベーシックインカム

再度,中野剛志氏「奇跡の経済教室」でのトピックを取り上げたい.中野氏は【基礎知識編】のp69で

 

『もちろん,デフレの時の政府の支出は,無駄なものにではなく,必要なもののためになされたほうが良いのは,事実です.(中略)しかし,「無駄な公共投資をする」と「無駄な公共投資をしない」とでは,どちらが正しいかと言えば,デフレの時には「無駄な公共投資をする」ほうがずっとよいのです』

 

と述べている.氏は更に過激な表現として,デフレ時に限って

 

最善の策:必要なものを造る公共投資

次善の策:無駄なものを造る公共投資

無策:公共投資を増やさないこと

最悪の策:公共投資の削減

 

と言い切っている.私もこれに賛成するが,一般の国民はおそらくインフレ&デフレに限らず

 

最善の策:必要なものを造る公共投資

次善の策:公共投資の削減

無策:公共投資を増やさないこと

最悪の策:無駄なものを造る公共投資

 

と考えているのではないだろうか?心が緊縮に傾いている人(いわゆる「新自由主義者」「財政破綻論者」など)はこの次善策と最善策が逆転している可能性すら有り得る.このブログで延々と述べてきたように,これらの考えはすべて「財源はどうするんだ」という,古い財源論に縛られていて,デフレ時は全くの勘違いである.財源が心配な人は当ブログの記事3.から8.くらいまでのページを見ていただき,考えを更新していただきたい(最終解答を急ぐ人は記事8の後半だけ見れば良い.そうすれば,MMTそのものにも興味が沸くだろう).

 

では,次善の策「無駄な公共投資」について,少し考えてみたい.「必要な公共投資」と「無駄な公共投資」を分けることは,可能なのだろうか?例えば道路の補修は通常必要な事に分類されるが,誰も使わない道路を増やしても,意味はない.

 

このように「明確に国益にならない投資」をするくらいならば,ベーシックインカムとして国民に配布し,消費を加熱することに使う方が良い.もちろん,MMTでは基本的に財源は気にしないので,ベーシックインカム公共投資は完全に分けて考えても良いのだが,基本的には国民皆こころのどこかで財源論(財政破綻論)に縛られているので,「無駄な投資するくらいなら,ベーシックインカムで配ったほうがいいんじゃね?」というストーリーが,感覚的に分かりやすいと推測できるのでそういう言い方を敢えてをしている.また, 「お金」に限りがないのはMMTの説明からよく分かることであるが,我々のもつ「時間(個々人の寿命)」や「資源」は明らかに有限なので,無駄な公共事業をしないに越したことはない.だからベーシックインカムなどで,『富の再分配』だけを推し進める方が,実にクレバーなのである.

 

ベーシックインカムは,従来型の社会保障よりもより強力な景気対策(デフレバスター)になる.年金をもらえない老人や無職の若者にさえお金を渡すので,日本に眠っている潜在的な,熱い個人消費需要を活性化する.そして何より,政治的なイデオロギーとしても,極めて平等的で気持ちの良いものである.むしろインフレになりすぎないかどうかが心配なくらいだが,その場合は財務省&日銀お得意の消費増税&金融政策で対応すれば良い.

 

【補足】

MMTのおかげで財源の心配がないので,学術の研究にはどんどん投資した方が良い.今はグローバリゼーションの関係で一極集中(例えば機械学習やAIへの過度な投資)が進んできているが,それそのものは継続して良い.国際競争力があるに越したことはないのである.これに加えて,現状は非採算的と見られる学術分野への投資を拡大するべきである(根本的に意味のある分野であれば).「誰にも,未来にどんな技術が必要になるかなんて,分からない」し,「財源の心配は基本的にない」のだから,国は学術への投資をためらってはいけない.現実には,有望な科学技術の研究でさえも「財源がないから」と断腸の思いで切ってしまっている状況である(https://www.mag2.com/p/news/425347).