やなぎょん 政治経済を勉強中!

最近は「政府の財源」について勉強しています.勉強不足・間違いがあるかもしれませんが,あくまで備忘録として公開していきます.経済のエキスパートの方からは,是非優しいアドバイスをお願いします.

10.経済的イデオロギーの硬直化が国を滅ぼす

これもどちらかと言うと政治の話である.

基本的な概念は中野剛志氏の「奇跡の経済教室」p53で示されている図をベースとし,独自の考察も行う.

 

現在の日本の老舗政党[1]の経済政策は以下のように大別できる.

右派:自由競争,グローバル化,格差拡大を容認する,政府のコストカット

(自民,維新,国民民主,立憲民主の一部)

左派:平等主義,反グローバル化,格差拡大を防ぐ,政府のコストカット

(立憲民主の大部分,共産,社民,公明)

[1] れいわ新選組NHKから国民を守る党は除く

 

わかるだろうか.これまで述べたように,民間企業はいつでもコストカットすべきだが,デフレ時に政府はコストカットをしてはいけないのだから,老舗の政党は押し並べて,デフレ期には不適切な政策を志向している.私はなにも,老舗政党が旧態依然としているからダメだ,というイメージ論で片付けていない.経済政策あるいは財源論を改革すべきだと言いたいのである.老舗政党は「財源=税金」という誤解から逃れられていないから,左派でも右派でもコストカットを志向してしまうのである.「デフレ時でも政府のコストカットは正しい」というイデオロギーは,インフレ時の成功体験を引きずっていて硬直化しているか,あるいは『財政破綻シナリオ(もちろん迷信)』に縛られているだけであると言わざるを得ない.

 

尚,敬称は略すが,老舗政党の党員でも小沢一郎(国民民主),須藤元気(立憲民主),安藤裕(自民),西田昌司(自民)は最近MMT的や拡張財源的な考えに好意的な発言をしており,それぞれの党内でのMMTへの理解の広まりに期待が持たれる.

 

ここでは消費減税=財政出動,消費増税=財政緊縮という大雑把な枠組みで,日本のすべての公党の現時点での政策を示す.

・自民公明連立与党「消費税10%を維持する」

日本維新の会「消費税は8%に凍結すべきであった.財源は行政改革によるコストカットで捻出すべき」

立憲民主党「消費税を8%に戻す」

・国民民主党共産党の共闘勢力,NHKから国民を守る党みんなの党会派)「消費税を5%にする」

・れいわ新選組「消費税完全廃止を目指す.但し,5%減税を飲める政党とならば共闘しても良い」

本ブログの趣旨的には,下の政党に行けば行くほど拡張財源路線になり,デフレ下では良い政策を志向していると言える.但し下の勢力でも,インフレ下でも硬直化した経済政策を打ち続ければ,当然政党評価は逆転する[2].故に,一番良いのはインフレ・デフレに柔軟に対応して適切な経済政策を打てる政党である.れいわ新選組がそれを実現できるかは分からないが,期待はできる.

[2] あくまで経済政策だけで評価した場合.例えば新自由主義的な軍拡・集団的自衛権容認には私も疑問を持つし,N国のマキャベリズム的な方法も,人によっては忌避感があるだろう.

 

とにかく,政治的イデオロギーが経済イデオロギーを支配してしまうと,国民の利益には全くならないのである.そして,経済イデオロギーの根本的な部分は左派も右派も融合できるはずである(もしMMTを完全に理解したならば).

 

【補足】 

特に面白いのが,小沢氏はれいわ新選組山本太郎氏の「政治家としての師匠」である点だ.拡張財源路線に転じたタイミングは,師匠よりも弟子の山本氏の方が先だった.小沢氏が「(新しい財源論について)ただ今勉強している」とコメントしているように,財源論については,師匠が弟子を追っかけている状態になっているのが興味深い.山本氏の先見の明もさることながら,高齢の小沢氏の謙虚で勤勉な姿勢には,恐れ入る(先述の西田氏も還暦は超えている).また,若い須藤氏や安藤氏からも目が離せない.