やなぎょん 政治経済を勉強中!

最近は「政府の財源」について勉強しています.勉強不足・間違いがあるかもしれませんが,あくまで備忘録として公開していきます.経済のエキスパートの方からは,是非優しいアドバイスをお願いします.

番外編 1人1000万の税金

思考実験として、以下のものを考えてみよう。

 

「毎年4月1日に一人あたり1100万円をベーシックインカムとして配り、毎年3月31日に1000万円を人頭税として取る法律を施行する」

人頭税=全員同じ金額を納める税金

 

この状況だと,市中に流れるお金が人口×100万円だけ純増するので,確実にインフレになる.

人によっては日本はもう財政破綻すると思って,海外逃亡したり,有り金を全て金(きん)に換えたりするだろう.だが,殆どの人は

 

「差額で見ても100万円もらえたので,ちょっと贅沢しつつ今まで通り働きながら暮らそう」

 

と思うのではないか?多少インフレになっても,『お金が紙切れになった!』と言って大騒ぎする人はほとんど居ないだろう.かなり極端な例だが,この状況でハイパーインフレになるとは考えにくい.単年の差し引きでプラス100万円を配るというのは消費税を10%から0%にするよりも極端なインフレ政策である.

 

また、有り金を金(きん)に変えてしまった人も,年度末には換金せざるを得ないだろう(差額で儲けられればラッキーだが、価値が下がるリスクもあるため,そこまで魅力的方法には思えないだろう).今回のモデルは年一の徴税だが,税の取り立ての期間を短くすることで(毎月など),換金はより強い制限を受ける.徴税間隔を無限に引き伸ばせばお金を持っていてもしょうがなくなるので,ハイパーインフレになる.

 

また、1000万円を元手にビジネスをする人も居るだろう.つまり,税金とはある意味では国に強制される「借金」なのである.ビジネスで1億円を儲けた人でも1000万円の納税は免れないのだから,儲ったお金は大切に取っておくだろう.年間生活費で200万円で済むとすれば,年間差し引き100万円だけが口座から消えていく事を受容して,既に儲けたお金で数年間は自由を謳歌しようとする人も出てくるだろう.だから見た目上の借金がなくてもビジネスを行うインセンティブになる(積極的労働意欲の創出).

 

逆に,あまりに贅沢をしすぎたり,労働を放棄しすぎたりして持ち金が800万円になってしまった人は年度末に慌てて200万を銀行から借りるだろう.すると,来年なにも贅沢をしなくても(自動で貰える差額の100万円を全て返済にあてても)少なくとも100万円以上は稼がなくてはならなくなる.これが「消極的労働意欲の創出」である.

 

以上の例は,国が軍事力や警察権力によって税金を確実に取る事で日本円の価値をガッチリ守れる事を表す.

 

【おまけ】

平均的な生活費を簡単のため200万円と設定したが,もし上記の問題を1200万円インカム,1000万円人頭税と考えると一生遊んで暮らそうと思う人も出てくるかもしれない(生産性の低下).もし全員がそう思うような金額をプラス差額で配ってしまった場合は[s1],国定信用貨幣だろうがハイパーインフレになる.その場合の目標インフレ率と支給差額は不適切であることが分かる.故に,インフレ率はMMTでもベーシックインカムでもきちんと管理された現実的な値に設定しなければならない.

[s1] 例えば+1000万円=ベーシックインカム2000万円,1000万円人頭税 など