2.なぜ消費税こそが「最悪の」税であるか?
『財源論』を主張する人は,基本的に税金を政府の財源とする,という考え方を持つ.このブログでは最終的に,「税金を財源とはしない」ことを提案する.財源=税金 の具体的な批判は後回しにして,まずは税金の中でも「消費税は格差拡大を進行させる究極の悪税である」事を述べたい.
日本のGDPの6割弱は家計消費である. 消費税は消費そのものに強力なペナルティを与える(例えば年間200万円を消費に当てる人は10%と5%では収入が10万円異なる).基本的に貧困層は貯蓄ができず年収のすべてを消費に当てざるを得ないため,消費税の負担が富裕層よりも大きい(税の逆進性).逆に言えば,貧困層の収入を消費税減税で下支えすれば,それは即効性の極めて高い景気対策になる.一方,富裕層に同額の減税をしても,それは景気刺激にはつながらず,預金(か投資)が増えるだけで,良い景気刺激策にはならない.よってデフレ時は,GDPを上昇させたいという目的からも消費税は悪税である.
だが,私たちは以下のようにテレビで見聞きしたはずである.
① 消費税は社会保障補填などの『財源として必要』である
② 消費税は全国民から『公平に取る税』である
③ 日本は海外に比べ『所得税が高い』ので,消費増税は調整役になる
まず①だが,実際の用途に関しては明確に社会保障費ではないと否定できる.
1991年と2018年の比較でいうと,消費税の増税分が大体所得税・法人税の減税分とほぼ一致する(参考文献,あるいは山本太郎氏の政見放送).つまり,消費税は法人税の穴埋めに使われている.お金には「名前」がついていないように,一旦抑えてしまえばあとは金額だけの違いなので,収支が一致するものは穴埋めに使われたと言われても否定できない.
次に②だが,そもそも公平とは『能力に応じて負担すること』である.もちろん,すべての日本人が全く独立した個人で,すべての人に公平にビジネスチャンスが与えられている状況であれば,消費税は良い税制かもしれない.しかし実際には,世襲議員や既得権益などもあり,また他の税制上も大企業や資産家が優遇されているため,スタートが異なる.よって,本人の努力の差なのかスタートの違いによる差なのかは誰にもわからないどころか,やや不公平である.故に,少なくとも今の日本では消費税が公平であるとは言えないと思われる.
次に③だが,また,日本は海外主要国に比べても高額所得者にかかる所得税が低く,半分程度と言われている.また,日本は海外主要国と比べ法人税が高いといわれて「いた」が,現在は特に低いとは言えない.だから,この筋で増税する理由はない.
以上より,消費税を「今」増税する正当性は,甚だ疑問である. どうしても消費税をやりたければ,まずは「デフレ脱却」を達成し,大企業資産家の権益を完全に破壊してから行うべきである.それであればまだ正当化されるのだが…
【参考文献】